シーン分析 & ロケ地探訪



羽田乗員訓練センター

〜'70 アテンションプリーズ研究〜











訓練過程を描くスチュワーデスドラマにとって

訓練センターは最も多く登場するロケ地であり重要な舞台でもある

東京・大田区穴守稲荷の「日本航空 乗員訓練センター」は

アテンションプリーズでは勿論のこと、堀ちえみのスチュワーデス物語でも頻繁に登場した



場所は京浜急行・穴守稲荷駅から徒歩約5分

この訓練センターが完成したのは昭和45年3月、

アテンションプリーズ放送開始が昭和45年8月なので

撮影をしていたのは訓練センターがまだ新築ピカピカの時期である



なぜ空港外のそんな場所に訓練センターが出来たのか?まずは立地を解説。

乗員訓練センターの敷地、ここには元々JALのエンジン整備工場があった

折しもジャンボジェット機の導入が決まり、シュミレーター導入のために

新しいパイロットの訓練施設が必要となる

これはスチュワーデスも同様で、今までの整備場地区の訓練施設は手狭となっていた

そこでパイロットとスチュワーデスの訓練所をまとめて作るべく候補地が検討される

成田、調布の日航所有の運動場、整備場地区など・・・

最終的には穴守稲荷の整備工場跡地に決定した







昭和45年、完成当時の日本航空 乗員訓練センター
屋上の鶴丸マークが誇らしげ。画像をクリック




ブラウンの外壁、当時としてはモダンな建物は7階建。

スチュワーデス訓練のための施設は5階、6階、7階の3フロア

教室が30室、ブリーフィングルーム10室、食堂に図書室、資料室、

英語のためのLL教室、酒の作り方を学ぶカクテルルーム、

着物の着付けなどを行う作法室、歩き方やメイクなどを学ぶチャームルーム、

そして実機と同じように作られた飛行機のモックアップは

DC-8、ボーイング727、ボーイング747の3種



アテンションブリーズで使われたロケ場所は、

エントランス、廊下、食堂、ボーイング747のモックアップ、

チャームルーム、作法室、カクテルルーム、屋上など・・・

意外にも教室のシーンはすべて世田谷区砧の東宝撮影所のスタジオセットである

スケジュールが詰まっていて教室が使えなかったか、

撮影の都合上、実際の教室では場所が狭く、スタジオセットを選択したのか、

教室だけが使用出来なかった理由はリサーチ中・・・







左上から時計回りに、作法室、チャームルーム、DC-8のモックアップ、カクテルルーム。



訓練センター内でロケ場所として最も多く使われたのはモックアップと屋上。

毎日の訓練で四苦八苦している美咲洋子。休憩時間になると屋上に上がり、

羽田空港を眺めながら、一人前のスチュワーデスとして飛び立つ日を想う。

同期生との人間関係に悩んだり、試験のことを考え憂鬱になったり、

試験に落ちて泣いたり、パイロット訓練生の堤クン(山内賢)に励まされたり・・・

そんなシーンで美咲洋子がいつもいるのは訓練センターの屋上だ



プロになるための厳しい訓練が続く教室やモックアップ、

それとは対照的に美咲洋子の弱さや優しさ、人間性を描くシーンでは

必ずといってよいほど彼女は屋上にいる

屋上あってこその 美咲洋子である!?







訓練センター。青枠は最上階7階の屋上、赤枠は4階部分の屋上
最上階の屋上は金網で囲まれているが4階屋上は手すりのみ




当時の本物の訓練生たちも悲しい時や悔しい時、うれしい時に屋上に上がり、

美咲洋子と同じく羽田空港の方角を見つめていたのだろうか?

悲喜交々の屋上、当時はどんな情景が展開されていたのだろう?

高嶺の花だった時代のスチュワーデスたちは美咲洋子や香川妙子のように

屋上でウサギ飛びや卓球などもしたのだろうか?

いろいろ資料を探してはみたが、さすがにそこまでは調べられる訳もなく・・・



そこでモリハナエミニスカ制服時代に現役だったスチュワーデスの方に話を聞くことにした

答えて頂いたのはニックネーム「オットットの母」さんである

オットットの母さんは昭和4○年、日本航空に超高倍率の中、合格。

そして約5年間乗務をし、アシスタントパーサーも勤めた正真正銘のスチュワーデス。

スチュワーデスの定年は30才、結婚したら即退職という時代である



当時の話を聞かせてもらおうとお願いをしたところ、

「30年以上も前のことなので覚えてないですヨ」と言われてしまったが

結局、こちらの質問には全て明確に答えて頂いた。感謝。

フライトや訓練時代の苦労話など、現役CAのサイト・ブログは乱立しているが

貴重な時代の話が書いてあるサイトは他には無いと思われる

(オットットの母さんのサイトはこちら)



実際に当時の訓練生たちは屋上でどう過ごしていたのだろう。答えは、

「屋上には鍵がかかっていて普通は上がれません」

え゛え゛ーーっ!

な、なんかショック。屋上には通常は入れないそうで、あれはドラマだけの話。



冷静に考えれば休憩中に訓練生がこぞって屋上にあがれば大混雑

1クラス20人として5クラスでも100人、とても落ち着いて休憩出来るとは思えない

つまりは屋上のシーンすべてはアテンションプリーズの撮影のためで

あのようなシーンは現実的には存在しないという結論である

あまり深くドラマのリァリティを掘り下げてガッカリしてみるのもどうかと思ったが

研究サイトだから、まっいいか。っと。



訓練内容はまた次の機会に徹底解説!



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2007.6.25