2006年 フジテレビ「アテンション プリーズ」考


リメイク作品の難しさ

〜オリジナルとの比較〜






上戸彩主演のリメイク版アテンションプリーズ
2007年正月に放送されたホノルル編のDVDも発売中




「新・アテンションプリーズ」に関しては様々なブログや掲示板などで

番組への批評が行われているが当サイト独自の視点で評価、

分析をさせて頂こうと思う。まず結論を申し上げると



違わい!違わい!あんなのアテンションプリーズじゃないやぃ!うぇーん!



突っ込みどころは満載なのだが、まずはスチュワーデスドラマの話題からは少し外れ、

「リメイク」という観点から感想を述べたい





リメイクというのは難しいものだと思う

近頃で有名な 大失敗作 は「戦国自衛隊1549」

オリジナル作品は千葉真一主演の1980年の角川映画「戦国自衛隊」である



戦国自衛隊はタイムスリップした自衛隊員が戦国時代に巻き込まれていくところや、

近代兵器vs.戦国の侍、隊員は現代に戻れるのか、

天下を穫ろうとする自衛隊によって歴史は変わってしまうのか

という点が見所で、視聴者をグイグイと引き込んでいく



しかしリメイク作品「戦国自衛隊1549」はすべての設定を変え、

タイムスリップした自衛隊を別の自衛隊が助けに行くが、自衛隊同士の戦いになるという

意味不明の展開。

自衛隊vs.自衛隊の戦いを期待して「戦国自衛隊」を観る者などいない

それではまったくの別物の映画になってしまい、戦国自衛隊ではない

掲示板やブログで戦国自衛隊1549はひどく叩かれている

不評の原因はオリジナルの背景や人物キャラクターの設定をすべて変えてしまったことである






(左)オリジナルの戦国自衛隊、(右)戦国自衛隊1549



一方、リメイクでの成功作。

唐沢寿明主演のフジテレビ「白い巨塔」は記憶に新しい

オリジナルは1966年の映画で1972年にもTVドラマ化された

主役は白い滑走路のキャプテン役でもあった田宮二郎である



ドラマの背景である 泥々とした大学病院の権力争い。人物キャラクターでは

野心に満ち、傲慢でありつつも弱い面を垣間見せる主役の財前五郎。

そして正義感に溢れる友人の医師、里見助教授。

大学病院講師たちの人間関係、医療裁判での遺族との争い・・・

これらの骨格部分の設定を忠実に守りながらも、リメイク作品として

新たな展開を"追加"しているのが唐沢寿明の白い巨塔であった



もしも大学病院に権力争いがなく、みんな和気あいあいと仕事をこなし

主役の財前五郎が誠実で真面目な人柄で、愛人などおらず、夫婦仲も良く、

自宅農園とガーデニングに命をかけている医師だったらどうだろう

そんなのは白い巨塔とは呼べぬ。別ドラマである。主演は桂歌丸でお願いする



リメイクでは背景や人物キャラクターの「設定」を変えないのが大原則

何が削られ、何が足されているのか、あの役をあの俳優がやるとどうなるのかなど、

視聴者はオリジナルの面白さが、どのように更に面白くなっているかを観たい訳で、

戦国自衛隊1549のように、その中心となる部分を削ってしまっては

ドラマが台無しになるのはシロウトでもわかることだ



もうひとつ。

1958年の映画「私は貝になりたい」のリメイクは非常にめずらしいパターン

オリジナルはフランキー堺 主演の戦争人間ドラマ

脚本を書いたのは黒澤明映画で有名な橋本忍である

内容は飛ばすとして、TBSは1994年に所ジョージ主演でリメイク

なんと全編に渡ってセリフはオリジナル作品とまったく同じ

設定・キャラクターなども忠実にオリジナルをなぞったものであった

というよりも、そのままコピーをしたような作品であった

結果はどうであったか?

名作はまったくのコピーであっても名作に変わりはない

ヘタにいじるよりは遥かにマシである


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2006.7.1